第一話.再会

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藤旋軍に入隊し早五年。 今までは藤旋軍少年学校で勉強をしていた。 学校の勉強は難しく、既に高校卒業レベルまで習得した。 そして15歳になり初の実戦に参加出来るようになった。 憧れていた藤旋軍服を私は袖に通した。 そういえばこの頃から一人称が私に変わったんだっけ? そう思いつつ、私は詰襟式軍服を鏡で見た。 藤旋軍の制式軍服は真っ黒であり、明るいところではとても目立つ。 幹部クラスは金モールが付く。 私も早く金モールを付けたいと思っていた。 戦場で私は歩兵として生物兵器の潜む土地に進んでいた。 だが、私は侵攻中に粒子砲をまともに喰らってしまった。 薄れゆく意識の中、軍医が近付いたのが分かった。 例の薬を注入したのを最後に意識を失った。 例の薬は瀕死の重体を受け(戦士として活躍は出来ないレベル)その中の志願者にだけ投与可能の薬である。 この薬は某国の『ピクシーダスト』の改良版である。 だが、ピクシーダストでは回復力は少ないし治癒に時間が掛かる。 それを元帥の名の下(名義的)に藤旋軍が開発したのは『人体再構成薬』という薬である。 これは簡単に言えば人体に新しい細胞を注入し、人体を再構成する物である。 だが、注入する物は人間の細胞では無い。 人間の細胞ではまだ治癒力が遅い。 ではどうするか? 生物兵器の細胞を取り入れるのである。 生物兵器は戦闘を想定され造られている為、治癒力が非常に高い。 記録によると下半身を失った状態で治したそうだ。 そして特殊能力が使える様になる。 例えば火を使う生物兵器なら火を。 毒を使うなら毒を出す事が出来る。 力を上げるために変体をする事が出来るが最終変体は人間の姿ではない。 それに、人体に上手く適応する確率はかなり低く、成功率は一割以下だと言う。 そのため親衛隊員は総勢8人しかいない。 失敗原因は1つは体に適応出来なかった。 もう1つは再生中の激痛に耐えきれず発狂したり、舌を噛み切る事があるからだ。 私も激痛に苦しみ自殺しようとしたが元帥から貰った恩を返すことが出来ない。 そう思って耐えきる事ができ、晴れて親衛隊になれたのだ。 親衛隊員になり紺の開襟式の軍服と元帥の名字『近藤』を与えられた。 藤旋軍にとって『近藤』の名字を与えられる事は最大の名誉なのだ。 これが私の過去である。 人と言えるか分からない体だが元帥により忠誠を尽くす事が出来て幸せだ。
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