第一話.再会

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長い間回想していたらいつの間にかUAG本部に着いていた。 「では此方です。」 利根を先頭に司令官執務室に向かった。 後ろに居る高城の殺気とベッタリとくっついている崎川には参ったものだ。 私はもうお前を助ける気はないのに…。 歩いて10分、漸く着いた。 執務室に着くとそこには司令官外川・貴人はもとより副司令官冬樹・権蔵が迎えていた。 「これは豪勢な歓迎だな。」 「UAGの将来が決まるからね。 返事はどうなんだい?」 冬樹が忙しく訊いてきた。 「簡単に言えばUAGの指揮の下に共に生物兵器を倒そう、という物だったな。」 「その通りだ。」 外川が低い声で言った。 「藤旋軍は…」 周りの連中が如何にも解答が既に解っている顔をしている。 「藤旋軍は全面的に拒否をする。」 「何でなのよ!!」 「その通りだよ。今の日本の現状を知らないかね。 先の戦いで北九州地方には沢山の被害があった。 君達は彼等を蔑ろにするのかね。」 「藤旋軍からの視点ではこの被害は作戦失敗によるものであり、責任はそちらにある。 それに元帥さえ無事であれば後はどうでもいいと私含め全体が考えているゆえ。」 「くっ。だが、沢山の人達が死んだんだ。 この二の舞を防ぎたくはないのかね?」 「我々は元帥を救うためなら100万人死んでも構わないと考えているので。」 言葉を発した直後、頭に冷たい感触がした。 「ごちゃごちゃ五月蝿いのよ!! あんた等はね、黙って私の命令を聞けば良いのよ!! 命令に従わないんだったら撃つわよ!!」 「我々は誰の下にも入らない。 これが第一の拒否理由だ。」 「ッこのっ!!」 乾いた音が辺りに鳴り響いた。 「な、何で倒れないのよ…」 「私のこの紺の服を見て気づかないか。」 「まさか、親衛隊?」 「その通りだ。」 「この化物ッ!!」 「止めないか!!高城君!!」 冬樹の制止の声も意味無く、6発の銃弾が私を貫いた。 血を噴いたが、直ぐに穴は塞がった。 縮こまっている崎川を放っておき、私は高城を殴った。 「ぐけごぎゃおきぃう!?」 意味不明な言葉を発しながら倒れる高城を見て、少しはこの怒りを解いた。 その直後、サイレンの甲高い音が私の耳に入った。
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