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サイレンの音が鳴り響いた。
その直後、ディスプレイが開き映像が出た。
映像に映っているのは人より少し大きい程度の生物兵器であった。
見ているとアナウンスが現状の報告をした。
『本日13時37分に浦安に蟷螂型の生物兵器が上陸しました。
UAGは至急迎撃を開始してください。』
「岬!行くわよ!」
高城が叫んだが、岬は立ち上がらない。
恐らくさっきの出来事で腰が抜けたんだろう。
「くっ!役に立たないわね。」
そう言って高城は出ていった。
「新太君…君にも行ってほしいんだが…」
「断る。」
「頼むよ。
人助けだと思って。」
「断る。」
外川が腕を組み言った。
「何が望みだ。
女か金か?」
「なんだ、高城の率いる部隊では不満なのか?
ディスプレイ映像を皆で観ようか?」
ディスプレイを観ると今の戦況が流れていた。
高城の部隊には100人程の軍人がいた。
相手は蟷螂型、恐らく遠距離から攻撃するだろう。
…訂正。
私は隊長が高城というのを忘れていた。
高城が突撃を命じたのだ。
隊員は切り刻まれている。
私だったらとっくに逃げているが高城自身が督戦を務めている。
結果を言おう。
部隊は全滅、その1割は高城の督戦で命を失っている。
しかも高城はさっさと逃げやがった。
「…この通り敵が強すぎるのだ。
どうか戦ってくれないか?」
「冬樹…お前の目は節穴か?
あれはどうみても指揮官を間違えている。
高城の下で戦う位なら敵前逃亡した方がまだマシだ。」
「お前が戦え。」
外川が唐突に言った。
「そちらの要求を全て飲もう。」
冬樹が心配そうに尋ねる。
「外川いいのか?」
「構わん。
勝たなければ意味がない。」
「まあいいか。
ではまず配下という形ではなく協力という形で入る。
後の細かい事はこの書類に書いてあるから守らなかったら直ぐに我々は引き上げる。
先に言っておくが親衛隊は使えないからな。」
「なぜなんだ?」
「親衛隊は元帥の命令以外での武力行為は全て禁じられているからだ。」
「…分かった。
それで手を打とう。」
「了解した。
元帥の許可は既に取ったから直ぐに行く。」
私は体を水蒸気に変え目的地に移動した。
そして手を水にしてウォーターカッターの要領で目の前にいる蟷螂を細かく切り刻んだ。
これで終わりだ。
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