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「…美しい」
誰もが振り返り、口々に私を見てそう言う。
まだ純粋な、幼きあの頃には考えられなかった言葉が、私の口から饒舌に滑り出る。
「うちは高いえ?」
口角を上げ、妖艶に。
なまめかしく、無邪気に。
簡単。
単純。
明解。
つまらない日常を、乾いた心から取り払う為の…
ただのお遊び。
「…つまらんわ」
雲のように白く宙に広がった息は、直ぐに虚しく消える。
この生活に、
夢なんて。
幸せなんてない。
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