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「黒日売~」
鈴蘭に゙貰った名前゙を呼ばれて、反応出来るようになるまで時間は掛からなかった。
鈴蘭の仕事を手伝うようになってからは、四六時中こう呼ばれる。
舞妓の見習いとして鈴蘭に教育を受け、礼儀作法を身に付け、喋り口調も更正された。
「なんやの?」
呼ばれて振り返ると、
「お座敷に出てみぃへんか」
と、
初めて仕事らしい仕事を提案された。
鈴蘭の仕事はことのほか面白くて、私はどっぷり遊女の世界へと染まっていった。
「ええの?」
鈴蘭は親切に見ず知らずの私を拾い育て、仕事まで与えてくれた。
彼女は、私が今まで接してきた人間の中では有り得ない程優しかった。
だからこそ、
彼女の役に立ちたいと、心からそう思っていたのだ。
「うち、お座敷出てみたい!」
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