セシル・ティア ~儚くも永久の物語り~

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心地の良い春の風にセシルは空を仰いだ。 流れる雲は柔らかく、形を変えていく。 他の生徒も何組か中庭で食べていた。 「ここにしようよ」 トリスは中庭に隅に立つ一本木を指さした。大きな古木は広く枝を伸ばし、青々と若葉を揺らしていた。 トリスに促され古木の根元にトレイを置き芝生の上に腰を下ろした。 下から古木を見上げると所々枯れ枝となって葉をつけてない。 それでも生きようとするこの古木の生命力にセシルは感心した。 「セシルどうしたの?上に何かある」 トリスは一緒になって上を見上げ、首を傾げた。
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