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隣町のバレー部員は羨ましそうな眼差しを向けている。自慢気ににっこり笑う宝城星バレー部。
「まあねー!…ほんと、目の保養には困んないよ。ま、見てるだけで幸せなんだけど、欲をいっちゃえば付き合ったりしてみたかったよねー。」
「だよねー…勿体無いなー。神様って残酷だよね。あんなにかっこいいのに――――。」
あれだけいがみ合っていたチームで口を揃えてハモる。
「「男じゃないなんて…。」」
はあ、と溜め息をついていると木田さんの怒鳴り声が聞こえてきて、慌てて作業に集中した。それが可笑しくてふと顔を合わせて笑う。
そして片付けが終了し、隣町のバレー部員は自分たちの学校へ戻って行った。ちなみに保健室に運ばれた彼女も、先生に車で送ってもらったので安心だ。これで一件落着、よかったよかった。
さて、皆さんはお分かりですね?
女子バレーのキャプテン、柳瀬羅(やなぎせら)は勿論女の子。短めの黒髪がぴょんぴょんと跳ねていて、くりっとした目と八重歯が特徴的だ。身長は168センチ、見た目よりも力持ちで、さっぱりとした性格が男女ともに印象が良い。
そして王子と呼ばれていた人物、実は彼女も女の子、なのである。
彼女の名前は木村愛姫(きむらあきひ)。身長173センチ。さらさらのショートカットにきれいな顔立ちをしていて、きれいはきれいでもキリッとした目にスッと高い鼻、整った眉が、まるで美少年のようだった。そのため昔から女の子にモテて、愛姫という名前から逆の意味のようなあだ名がついていた。通称"愛王子(あきおうじ)"である。
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