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「あ、王子だ!!今帰りー?」
「きゃー♪休みの日に王子会えるなんて幸せ!!」
通りすがりの廊下を歩く三年生に手を振られて、愛姫は靴を拾いながら振り返る。
「はい、先輩たちは部活ですか?がんばってください!」
そう言った愛姫の表情は――――キラキラと効果音が聞こえてくるぐらいのとても爽やかなスマイルだった。
瞬間、ドキューンッという音と共に先輩たちは持っていたファイルをバタバタと落として頬を赤く染め上げる。そしてそのままフリーズしてしまった。
「!?せ、先輩!?」
愛姫がハッとして声をかけるが、先輩二人は意識を取り戻すと急いで落としたファイルを拾ってハート型の目を愛姫に向ける。
「頑張る!!もうめっちゃ頑張る!!」
「ふわーん!!王子のために頑張るからね!!王子のために!!」
二回言った。そしてキャーキャー騒ぎながら先輩たちは廊下をスキップしながら駆けていってしまった。
その光景に愛姫も美冬もポカーンと立ち尽くすしかなかった。
「…ふう。あんたのその所構わず笑顔を振り撒く癖、直んないわねー…。」
美冬は呆れたように呟くと、先程のキラキラスマイルとは正反対のドヨーンとした表情で愛姫は下駄箱に寄りかかる。
「うぅっ…、またやってしまった…!!」
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