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「だからほっといてよ!!」
こういうことだけは敏感なようだ。愛姫の突然の訴えに、美冬は顔をしかめて呆れたように言った。
「!?さっきからいきなり何なの?ストレス溜まってるわけ?」
「や…なんでもないです。」
愛姫は疲れた表情で靴を履いて外に出た。上を見上げると青く澄んだ空がずっと続いている。暖かくなってきた風を浴びて、少しだけ気が楽になった気がした。
「ふう…良い天気だ。」
「それはいいけど早く行きましょ。柳の方が先にマッキーに着いちゃうわよ?」
と、美冬の言葉でこれからの予定を思い出して再び愛姫は眉間にシワを寄せた。
「そ、ソウデスネ…。」
気の進まない愛姫を美冬が押す形で、二人は学校をあとにした。
そして待ち合わせ場所のマッキーに到着後、十分ほどして柳と合流する。制服の美冬と愛姫(愛姫だけ下はジャージ)に、Tシャツにパーカーの柳の組み合わせは、三人を知らない人には少し変わった印象を与える。女子高生と男っぽい女友達、そしてちょっと変わった格好のイケメン。普通に立っているだけでも何かと目立つ三人組だ。
「じゃあ…行こうか。」
覚悟を決めた愛姫の言葉で三人は大通りを逸れて路地を進む。これから向かうは愛姫のバイト先、喫茶ステラ。
さて、どんな物語が始まりますやら?
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