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更に胸の鼓動が高鳴り、心臓が爆発しそうだ。
そして王子が遂にキャプテンの目の前にきた。
「―お疲れ様、頑張ったね。」
その優しい言葉と笑顔に、キャプテンはドキューンッとハートの矢が身体を突き抜けた。
しかし、カッチーンと固まってしまった彼女の横を、王子はするりと通り過ぎて行く。
「…はれ?」
自分の元に来たわけではないのだろうか?では誰のところに…?
キャプテンは恐る恐る後ろを振り返る。すると、王子が向かったのは対戦校、つまり宝城星のキャプテンのところだった。
「お疲れ様、ヤナちゃん。今日も格好よかったよ。」
満面の笑みを浮かべ、王子は宝城星のキャプテンに語り掛ける。瞬間に、ギャーっと体育館に女子たちの叫び声が聞こえてきた。
「王子の笑顔よー!!」
「ヤバイ、チョー格好いい!!」
「やだー!!宝城星のキャプテン、羨ましいー!!どういう関係!?」
それぞれに騒ぎ立てる中、ひとりショックで動けなかったのは隣町のキャプテン。ようやく我に返り、ふるふると首を振って自分の意識を呼び戻す。
「っちょ、皆!!手が止まってる!!片付け急いで!!」
ちょっとだけヤケになりながら、キャプテンは自分のチームメイトに喝を入れた。王子に見惚れていたメンバーはキャプテンの怒声に慌てて作業に戻る。
そんな様子を見ていたのは、王子が会いに行った宝城星のキャプテンだ。
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