第1話*喫茶ステラの日常

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「…ちょっと、アキちん…。」 溜め息をつきながら彼女は王子をアダ名で呼んだ。王子はニコニコしながら言葉の続きを待つ。 「何?」 「あのさ、応援に来てくれたのにこう言うのもなんなんだけど…邪魔。」 「え゙。」 王子は固まってしまった。 「前に言ったじゃん、試合終わってもやることがあるんだから降りてこなくていいんだって!美冬っちは?」 「あ、あそこにいます…。」 王子は恐る恐るギャラリーを指差した。体育館の二階、手摺にもたれ掛かるようにして女子高生の一人がひらひらと手を振っている。 「私は止めたわよー。」 そう言ってキャプテンに聞こえるように大きめの声で答えると、王子はしゅんと縮こまるようにして表情を暗くした。 「や、何か手伝いとか出来たらな…と、思って…。」 「アキちん…。君はいるだけで周りに影響を与えるってことがまだ分からないのかな?見なよ、まだうちのメンバーは見慣れてるから良いけど、相手のチームは完ぺき君が気になっちゃって片付けがはかどらないじゃん。はっきり言って営業妨害だよ。」 「え、営業…!?」
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