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木田さんの言葉を聞いてキャプテンはさっさと歩いて行ってしまった。見えなくなるまで、そこにいた誰もがその姿に釘ずけだった。
「や…ヤナちゃん、かっこいい。」
ポツリと王子が呟くと、宝城星のチームのメンバーは凄い勢いで頷く。
「さすがです、キャプテン!!」
どうやら宝城星バレー部の中では王子よりキャプテンの方が人気があるらしい。文句を言っていた相手チームも、先程の行動に何も言えない。むしろ反対に好印象だったようで。
「…か、かっこいいじゃない!」
この通りだ。
「さ、皆!!ちゃっちゃと片付けるよ!!お、王子も…避けてもらっていいですか?」
木田さんがモゴモゴしながらコートから出るよう頼むと、王子は申し訳なさそうに頷く。
「うん、邪魔してすみませんでした。お疲れ様、頑張ってね。」
「――――はっはい!!」
嬉しそうに顔を赤らめて木田さんはチームメイトの元へ駆けていった。王子も他の部員たちに挨拶しながら友達の元へ歩いて行く。
「お帰り、お騒がせマン。」
声のする方を見ると、体育館の二階のギャラリーから降りてきた友達が呆れたように腕組みして壁に寄りかかっていた。
「お、お騒がせマンって…。」
王子がムッと顔をしかめるが、何も言い返せずガクッと肩を落として悲しそうな表情になった。どうやら反省しているらしい。
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