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この家はテレビドラマに出てくる部屋みたいでとってもオシャレだ。
黒で統一された家具がきちんと並んでいて、私の家と同じ間取りだなんて思えないぐらい広々としている。
えっちゃんのお父さんは社長さんだから、サラリーマンのうちのお父さんよりもずっとお金持ちだ。
「えっちゃんちはいいなぁ……」
えっちゃんがドールハウスを持ってくる間、リビングの床に寝転がる。
フカフカの絨毯が気持ちいい。
うちの傷だらけのフローリングと大違いだ。
戻ってきたえっちゃんが笑う。
「涼ちゃん、そればっかりだね。
涼ちゃんちは三人兄弟で、私は一人っ子だからだよ」
私は起き上がって、リビングのテーブルに置いてあるかわいいメモを手に取った。
共稼ぎのえっちゃんのお母さんは、いつもえっちゃんに手紙を置いていく。
私はこのメモを読むのを楽しみにしていた。
『冷蔵庫にケーキがあります。涼ちゃんと紅茶を入れて食べて下さい。今日は雨が降って寒くなるかもしれないので、あたたかくしてのね』
「先におやつにしようか」
前もって準備してたらしく、えっちゃんはキッチンからケーキと紅茶がのったお盆を持ってきた。
えっちゃんのこういうテキパキしたところに凄く憧れる。
来年、私が五年生になってもえっちゃんみたいにはなれない気がする。
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