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「うるせー」 グラスをテーブルに置き、池田を睨み付けた。池田も俺を睨んでいたが、不意に鼻で笑った。 「知念って、バカよね。夢見てないで現実をちゃんと見なさいよ」 空になったグラスに、ワインを注いで池田は笑った。 「隆史があんたの前に現れたら、あんたは隆史の甘言に乗るわ。あんたは夢ばかり見て、都合の悪いことに目を瞑る」 ワインを流し込み、笑う池田に奥歯を噛み締めた。 羞恥が、怒りを呼ぶ。 言うな。それ以上言うなよ。
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