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目を閉じて、国枝のシャツに顔を押し付けた。 池田の言うことは、正しい。俺は、特別になりたかったんだ。 俺にはない華やかな魅力を持つものが、俺を特別に思ってくれたら。 自分にも、魅力があるんじゃないかって思えるから。 優越感に浸る隆史を、否定できない。俺は隆史の特別になり、優越感に浸りたかったんだ。 好きだから我慢する自分が、愛しいと思って自己を憐れみ悦に入っていたんだ。 純粋な、愛なんてない。そんなものは、存在しない。
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