3

36/46
前へ
/386ページ
次へ
見ない振りをして、気づかない振りをして、夢見ていたかったんだ。 現実なんか見たくない。見ないで気づかずにいれば、愛だと信じて夢が見れるから。 「颯吾さんがそれを望んでないなら、わざわざ突きつける必要ないだろ?あんたのは、ただの苛めだ」 聞きたくない。気づきたくない。知りたくない。 「苛め?違うわよ。これはね、愛よ」 「どこがだよ。颯吾さん、帰ろ?大丈夫?」 頭を撫でる手に、目頭が熱くなった。堪えて、その腕の中から身を離した。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2937人が本棚に入れています
本棚に追加