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もう駄目だ。耐えられない。 お前と俺が、違うって気づいてたから我慢してた。 スパイスとして浮気を楽しめるお前と、裏切りだと哀しむ俺とが、うまくいくわけなかったんだ。 「颯吾、颯吾待って、」 鉄階段。寂れたアパート。駅から歩いて20分。 見慣れた住宅街も、これで見納めだっての。 地面に足を付けて二階の部屋を見上げた。 上半身裸で外に出て、目が合ったことに安堵したお前に笑いかける。 「元気でな」
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