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次の瞬間、扉を破壊した化け物二匹が入ってくる。破壊した衝撃で舞う埃と煙の合間から、狼の姿をした半獣人の魔族と、もう片方は姿は人間だが幾つもの鱗の触手を持つ魔族が確認できた。
確認と同時にマシューの合図で一斉にトリガーを弾く。連続した瞬音が二匹を捉え、その肉体は衝撃を受けながら血しぶきが散る。床一面に飛び散った血はジュッと床を溶かし始め、鳴り止むことのない炸裂する瞬音が二匹を後退させ沈黙させる。
「やっ……やったのか?」
「分からん。直接頭と心臓を撃ち抜いてトドメをさすぞ!」
先ほどの合図で四名がじりじりと距離を詰めながら、二匹に近寄る。銃口を頭に突き付けトリガーをひこうとした瞬間、「セルゲイ!」と叫ぶより早く、半獣人の魔族は鋼の筋肉を纏ったような図太い片手で大柄のセルゲイの首を絞め、壁へと跳躍するとそのまま叩きつけグシャリと不快音をたて首は潰れセルゲイは絶命する。
それを追うように三名はトリガーをひき半獣人を撃つ。三名が半獣人に気をとられている内に、もう片方の魔族の腹部がパクリと割れ、おぞましい触手が女エージェントの背中を戦闘服ごと貫く。
腹部から飛び散った血と大量の微細な肉片が女を恐怖に陥れる。
「いっ……嫌!死にたくない!!」
腹部で蠢く触手が女の顔の方を向くと女は蒼白する。次の瞬間、触手が女の顔を潰す。潰れた頭から血が吹き出し辺り一面を肉片と血で真っ赤に染め上げる。
「隊長!セルゲイが!!」
「早瀬もやられちまった!まだ、例の奴に連絡とれないのかよ!?隊長!!」
「緊急暗号通信はかなり前に送った!彼が来るまで持ちこたえるんだ!」
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