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深い森があった
海が近いのだろうか
波の音が聞こえる
夜のとばりがおりた空には三日月がぼうっとかかっている
その光を一切通さないほどに森は鬱蒼と繁っていた
その奥深くに一本の木があった
その木の周りにはたくさんのポケモンたちが何かを不安そうに見つめている
そこにいたのは一人の傷ついた少女だった
少女は濡れて傷つきボロボロで弱々しく木にもたれている
濡れた髪が額にかかる
暗くてよく見えないが、綺麗な顔をした華奢な女の子だった
澄んだ瞳は虚ろな色を浮かべ、宙を眺める
周りのポケモンたちが心配そうに少女に近寄った
「・・だ、大丈夫・・・。心配しないで・・・。」
少女はか細い声で答えた
「このままじゃ・・ダメだ。・・・さてさて、これから一体どうしましょう・・・。」
小さくかすれそうな声で呟く
その声は闇夜に吸い込まれていった
ここからさかのぼること数時間――――
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