■01:桜と楽器とチョコレート

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?「あ~…やっと終わった」 周りの同じ学年の生徒たちも似たような趣旨のお喋りを始める。 緊張感から放たれた私も、それに流されるように大きな伸びをした。 今日は4月の始業式。 学年も1つ上がり、私も2年生となった訳だが。 ?「あとはクラスか。えっと私は…」 ?「うわーん! 夏と離れちゃったよ~!」 ?「うわわっ…!?」 クラス分けのボードに気を取られていた私は、横から誰かの、割と助走のついたタックルを受ける。 重心をもろに崩してしまった私は床に転び、そいつは私に覆い被さるような形で上に乗っかっていた。 ?「痛っ、…おい、茉莉!」 ?「あーごめんね~。つい勢いついちゃって」 スカートを払い、立ち上がる2人。 ?「…ったく、何なんだ。そんなにはしゃいで。小学生かお前は」 ?「だってだって~」 私がそう聞くと、茉莉はわざとらしいほど悲しそうな顔をしてこう言う。 茉「ほら、私はA組。夏穂はB組」 夏「あー…確かに。違うクラスになったみたいだな。で?」 茉「でって、夏は何も思わないの!?」 夏「何で?」 茉「ええっ、私たち今までずっと同じクラスだったじゃん! 別れて寂しいとかないの?」 夏「うるさいのがいなくなって、ちょうどいいかなって」 茉「…天を仰ぐのやめてよ!?」 夏「冗談。ちょっとは寂しいかなって思ってる。でも教室は隣だし別に会えなくなるわけじゃないし」 茉「そうだけど…。クラス違うと宿題の内容が変わってくるから、夏の写せないじゃん」 夏「やっぱりそういうことか。小学生か」 茉「小学生じゃないよ」 夏「分かってるわ!」 茉「あはは。…あ、チャイム」 夏「じゃ、今からホームルームの時間だから」 茉「うん。また放課後。校門前でね~」
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