■01:桜と楽器とチョコレート

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放課後。 今日は学校はお昼まで。 授業が終わると私は少し寄り道をして、茉莉の待つ校門前へと向かう。 夏「お待たせ」 茉「おお、なんか遅かったね」 夏「ああ。ちょっと1年生の教室に寄ってたよ。なんかまだホームルームやってるみたいだった」 茉「そっか。まあ新入生だから、色々話とかあるんだろうねぇ~」 夏「オリエンテーション受けてるのかもな。春風はまだかかりそうだから、私たちだけで先に帰るか?」 茉「うん」 春風。彼女は私の幼なじみ。 今年から新しく私たちと同じ学園に通うことになった。 私たちの一つ年下だ。 今日は残念ながら一緒に下校することは叶わないようだ。 彼女には悪いと思いながらも、私と茉莉は2人で先に帰路に就くことにする。 とはいえ私の家は…、 茉「ねぇねぇ。今日も夏の家に遊びに行ってもいい?」 夏「ああ。別に良いけど」 茉「じゃあ、お昼食べたらすぐに行くよ。じゃあねぇ~」 夏「ああ。また後でな」 学校のすぐ隣りにあり、2人で一緒に下校する意味はさほど無いのだが。 嬉しそうに手を振る茉莉に、私も手を振って一度別れる。 どうもあいつは寂しがり屋で、いつも誰かと行動を共にしないと嫌らしい。 まるで人懐っこい猫みたいに。 こんな短い帰路の時間でさえ、私とお喋りをしたいらしい。 相変わらず面倒くさい奴だ。
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