Lilac

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ある夜。 とっくに過ぎた消灯時間だが、俺は月明かりを頼りに作業を進めていた。 秋の夜長は月が明るい。 とても作業がはかどるのだ。 コンコン・・・ ノックの音。 作業の手を止めて聞き耳を立てる。 コンコン・・・ 聞き間違いではなさそうだ。 慌てて枕の下にスケッチブックをかくすと、俺は息を潜めた。 キィ・・・ 静かにドアが開いた。 サイコだった。 サイコはベッドに近づいて囁いた。 「やっぱり寝てるよね・・・。ごめんなさい。勝手に入っちゃって・・・。でも、ちょっとだけここにいさせてください。すぐに帰るから・・・」 狸寝入りにはきづいていないようだ。 しかしなぜここへ?? サイコはベッドから離れると、窓際に置いてある椅子に腰を下ろして、月を見上げた。 しばらくの沈黙。 しかし、彼女のすすり泣きが沈黙を破った。
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