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時々混じる嗚咽。
俺はサイコの方をみた。
彼女は背中を丸め、顔を両手で覆って泣いていた。
その姿があまりにも頼りなくて、とても遠くて、今にも消えてしまいそうで・・・俺は思わず起き上がった。
身体が重い。
ベッドから降りるのも一苦労だった。
足が思うように動かない。
変な汗が出てくる。
でも歩みは止めない。
一歩、一歩、前へ。
もう少しでサイコに届く。
よろよろと、顔を歪めながら。
こけそうになるのを必死で抑えつけ、前のめりになりながらもなんとかサイコを背中から抱きしめた。
「泣くな・・・」
消えないように。
壊れないように。
俺はキツくサイコを抱きしめた。
身体をこわばらせていたサイコは言った。
「・・・泣いてるの??」
俺は泣いていた。
サイコの姿を見ていたら、どうしようもなくつらくて。悲しくて。
胸が痛くて、喉の奥が焼けるように熱くて。
目から何かが出て、頬がスースーして。
「うるせぇよ・・・なんなのか俺にもわかんねぇよ・・・」
そうだよ、わかんねぇんだよ。
なんで人一人のためにこんなに苦しい思いしてんのか・・・
「でも・・・もういいよ。何もいわなくていい・・・なにも言うな・・・大丈夫だから・・・」
俺はさらにキツくサイコを抱きしめた。
サイコは顔を歪め、わっと火がついたように泣き出した。
俺の手にサイコのふるえと温もりが伝わり、とめどなく溢れる涙でずぶ濡れになった。
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