Lilac

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「母が・・・亡くなりました。」 しばらくたって落ち着いたのか、いつものようにベッドまで肩を貸したサイコは、ベッドの側にある椅子に腰掛けてポツリポツリと話し始めた。  『可愛い可愛いサイコ・・・こっちにおいで・・・』 父の猫なで声が苦痛だった。 いつもいつも、母がパートでいない時に父は私を部屋に呼んだ。 『そうだよ、それでいい・・・歯は立てるなよ・・・舌を使うんだ・・・そうだ・・・巧いぞ・・・』 父の切なげな声が耳にこびりつく。 嫌悪 嫌悪 嫌悪 しかし私が耐えなければ母がひどい目にあう。 『てめぇ!!また俺にたてつく気か!!どこのだれともしらねぇ奴と子供こさえやがった癖に!!』 私が幼い時から気に入らないことがあると、父は母に暴力をふるった。 母は抵抗できずに暴力に耐えた。 『大丈夫。あなたは間違いなく私とお父さんの子供なんだから。…お父さんもきっとすぐにわかってくれるわ』 母は傷だらけの顔でそうやっていつも笑っていた。 お父さんを責めないで、お父さんはさみしいだけなのよ…と。 成長期によって私の身体が女らしく変化し始めると、父は私を求めた。 初めても父に奪われた。 憎しみは増すばかり。 でも耐えなければ。 ある夜のことだった。 母はまだ帰ってこない。 父はいつもの猫なで声で私を部屋に呼んだ。
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