煩い

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……厨房にお膳を下げ終えた僕は、そのまま玄関で草履を履く。 勿論、藍島に会いに行くためだ。庭の隅に建っている牢屋は存在こそ知っていたが、こうして足を運ぶのは初めて。 歩いている道中、柄にもなく非常に緊張した。どんな風に彼と話せばいいのか悩みもした。 ーーザッザッ… あっという間に目的地に到着してしまい、僕は一度立ち止まる。門前に見張り役の隊士が立っていたので軽く会釈をし、無言で建物を見据える。 決心を固めて臨みたい所だが………生憎そんなに時間に余裕はない。 この揺らぎまくっている決心が固まるのを待っていたら、夜が開けてしまうだろう 「……副長から話は伺ってます。どうぞ中へ。」 牢屋の前で立ち止まって建物を眺めていると、見張り役の隊士は控えめに声を掛けてくる。 僕はその言葉に軽く頷き、言われた通り建物の中へ入った。 「……………………………」 中に入り扉を閉めると、視界が薄暗くなる。 壁も床も石で出来ており、光もあまり差し込まない所為か…空気がとても冷んやりとしていた。 内部の構造自体はどうもそこまで複雑ではない。寧ろ非常にシンプルで素朴。まぁ…想像通りだ。 入って直ぐには藍島は見えなかった。取り敢えず今目の前に格子で囲われた部屋が連なって設置されているが…中には誰も居ない。 通路自体は奥に続いている。突き当たりで曲がり角になっているので、恐らくあれを曲がった先に藍島がいるのだろう。 どんよりとした、決して綺麗とは言い難い独特な匂いと雰囲気を感じながら、僕は足を進める。 ……と。曲がり角に差し掛かる前に人の気配を察した。 1人は藍島で間違いない。だがもう1人そこに居る様で………耳を澄ませば、微かに話し声も聞こえた。 僕は気配を消して曲がり角からそこを覗き見る 「……なんだよ藍島だって同じ事してたじゃん。2年前宿屋の女の子に。」 「あっ…あれは元々虎之助が言い出した事だろ!」 「いーや俺は知ってるぜ。あれはお前が言い出した。なんならその時の台詞言ってやろうか?」

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