プロローグ-その傭兵の名は-

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皇国歴376年ファルシア皇国王都イースの酒場 辺りは暗くなり、周りにある家々からもれる光も少なくなってきたというのにここの喧騒はやむことがない 人相の悪そうな顔をした男達が大声を出しながら各自のテーブルで話し合っている 「聞いたか?」 「あん?何をだよ」 「ティアネリスとリンデガルトの戦争が激化しだしたって話」 「そんなもんいつものことじゃねぇかそんなのその二ヵ国に限った話しじゃねぇだろ」 「いやぁそれがどうにも今回のはかなりやばくってよどっちの国も総戦力でやり合ってるらしい」 「本当かよ………って言っても俺らとしては働き場所が増えるからありがたいんだがな」 「ちげえねぇや」 そんな話し声が聞こえるなか酒場のカウンターに一人の青年が座っていた 端正な顔立ち黒い髪に黒い目をしておりフードの付いた黒いローブで身をつつみ一人酒の入ったグラスを煽っている そして不思議なことに彼の両隣はこれだけ人が多いのにポツンと空いていた 「マスター私にも一杯」 そう言って不意に 彼の空いていた席の片側に眼鏡をかけた青年が座った
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