キリ番:100:聖架さんへ

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* 「てめぇらっ! 女一人に何やられてんだっ!」 「つっても頭ぁ、こいつ魔法なんて使うんですぜ?!」 「情けねぇっ! 発動させる前に叩き潰せっ!」 野盗たちの中でも一際目立つ大柄な男の声一つで、ミカノに気圧されていた者たちが「へいっ!」と気合を入れた声で態勢を整える。 その間にもミカノは次々と術を繰り出しつつ、男たちの攻撃を踊るように避け続けていた。 火の雨が野盗たちの頭上に降り注ぎ、大風が火の勢いを強める。 術だけではなく、一定以上の距離に近付いてきた者に対しては槍の柄で腹部を一突きし、くずおれたきた顔面に膝を打ち付け、蹴り飛ばしたりもしていた。 放った火が木々に燃え移った際は、それを振りまいた本人が「やっべ、山火事になる!」などと言って消火活動を始める場面もあった。 攻撃は一方的で、且つ遊んでいるかのような嘲笑が伴っており、野盗たちは次第に“自分たちが舐められている”ことに気が付き始め、怒りで顔が真っ赤に染まる。 ミカノを睨みつける目も次第に険しくなっていき、 「ふざけんなっ! この女ぁぁぁっ!」 手にククリ刀を握りしめた男がミカノの真横から飛びかかってきた。 ミカノは振り返らない。 ――獲った!! 男がそう思ったのと、自身のククリ刀が弾き飛ばされたのはほぼ同時だった。 右手に痛みを感じた時にはもう、横から伸びてきた剣の背が握っていたはずのククリ刀をやすやすと弾き、返す刃で自分の腹部を切られる。 男が倒れた際に見たのは、この場所にそぐわないほどの愛らしい顔立ちの少女の姿だった。 「とりあえず、一人」 「さんきゅー、ナギサー」 ミカノを狙っていた男を切り伏せ、ナギサは周囲を見回す。 ミカノが振り返らなかったのはナギサが出てくることを察知していたからだった。 大部分の男たちはまだミカノへ向かっていたが、幾人かはナギサの乱入に気が付き、彼女のことをまじまじと見つめていた。
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