キリ番:100:聖架さんへ

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「な、なんだぁ? どうして女が二人も・・・・・・」 野盗たちからしてみれば当然の疑問であろう。 ミカノもナギサも、とても山登りに向いているとは思えないワンピースを着、さらにはそれにそぐわない槍や剣を手にしているのだ。 まともな防具をつけているわけでもない。 ミカノのキレイな顔立ちも、ナギサの愛らしい顔立ちも、ある意味恐ろしさを倍増させている。 そしてようやく襲撃される原因に思い当たったのか、野盗たちの頭領はわなわなと口元を震えさせながら声を絞り出した。 「まさか、あの村の奴らがギルドにでも依頼した、ってーのか?!」 こんな辺境で暴れる自分たちにそんなものが出てくるとは思わなかったのだろう。 他の男たちも頭領の言葉にぎょっと目を見開く。 実際のところミカノはただの旅人で、ナギサもギルドに所属しているわけではない。 かといって「違いますよ」なんて教えてやるつもりもなかった。 「あんたたちが村の人たちに好き勝手やらかした分、私がきっちり制裁してあげるわっ!!」 自分たちで勝手に勘違いをして勝手に混乱してくれているのだから、それを利用しない手はない。 ナギサは地を蹴り、目の前に立ち尽くす男の腹を切りつける。仲間が切られ倒れたことにより我に返った他の野盗たちが、一斉に二人に襲いかかった。 何人来ようともナギサのやることに変わりはなかったので、冷静に事をなしていく。 顔を狙って突き出されたナイフを紙一重で避け、剣の柄で手の甲を叩いてそれを手放させる。衝撃でたたらを踏んだ男の背にさらに肘鉄を見舞い、別の男を巻き込んで地に倒れた。 一息つく間もなく別の男がナギサの背後を狙って剣を振り上げたが、それはあっさりと彼女の剣によって防がれる。 ぎりぎりと互いに剣を押し合う拮抗状態に持ち込まれるのが嫌だったナギサは、わずかに剣の角度をずらして男の力をいなすと同時に大きく後ろに跳んだ。 急に自身の力を受け止めていた者がなくなった男は慌てて態勢を整えようとするが、その時にはもうすでにナギサの剣が振りかざされており、男の肩口から腰に掛けてばっさりと切り裂いたところであった。 この間、彼女のツインテールは少しも乱れることもなく、剣舞でも見ているかのような優雅ささえ感じられた。
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