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いままた新たに一人の男を切り捨てたナギサを見、ミカノの頬がにんまりと持ち上がる。
「ふっふーん、なんだ、あの子庇わなくても平気な子なのね」
物腰からたしかに剣の扱いには慣れているのだろうとは思っていたが、一対多でこうも動けるとは思ってなかったミカノは、ナギサの戦いを面白そうに眺めていた。
とはいえ、そうしている間にも彼女へ襲い掛かる手も休んでいるわけではない。
あっちへひらり、こっちへひらり。
適当に交わしつつ、相手をしつつ、ナギサの戦いを観戦している。
「タヤクも見ればいいのに。どこ行ってんだろ、あのバカは」
「死にさらせぁぁぁぁぁっ!!」
ミカノより一回りも二回りも体格の良い大男――この集団の頭領がミカノに真正面から襲い掛かる。
が。
「あーあ。つまんね」
槍の一突きで肩を抉る。
男の体を貫通したそれにはミカノの魔力が伝っており、火炎の魔法が男の肩で爆発する。
無残にも、頭領の左腕は肩より先が四散してなくなった。
それと時同じくして、ナギサの振るう剣が最後の一人の腹を切り裂き、ようやく剣を収めたのだった。
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