キリ番:100:聖架さんへ

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「だったらさっさと行くよ」 「え?」 「え? じゃなくて。そのためにあたしとタヤクに声をかけたんでしょ」 「そうだけど・・・・・・」 「口だけじゃなくって、動こうとする奴は手伝ってあげないとね」 ナギサからの頼みをあっさりと引き受け席を立つミカノに、逆に彼女たちの方が戸惑いを見せる。 そんな視線も気にすることなく、ミカノはさっさとカウンターで飲み物とサンドウィッチの代金を支払おうとしていた。 「あんたの相方は勝手に決めたようだが、いいのか?」 「ん? あぁ」 伺うように問いかけるダークに苦笑を返すタヤク。 ナギサは自分の財布を握り、ミカノに先ほどの代金を渡そうとしてなぜか押し問答をしていた。 そんな二人のやり取りを視界に入れながらふっ、と笑い、 「あいつのそういうところには慣れてるからな」 とだけ答えたのだった。 * 村から歩いて一時間ほどで野盗が住み着いているという山に辿り着く。 道中、同じく村の外に出ているキーナとケイヤに合流できないか考えていたタヤクだったが、残念ながら二人とは反対方向へ村を出たのでそれは出来なかった。 村を出てしばらくは道も整っていたのだが、半ばも進むと草が生い茂り、荒れた地面の歩きにくい田舎道へと変わる。 さらに山へ踏み入ると手入れをされていないのが一目でわかるほど、木は好き勝手伸びているだけだった。育ち方など全く考えられていない。 おかげで日は入りにくく、ただでさえ歩きにくい足元は暗く、慎重に進まざるを得なかった。 山の傾斜が緩やかだったことだけが救いだ。あちこちに地面を均した部分があり、村の人たちがそこを休憩場所として利用していたのであろうことがわかる。 「村の人の話だと、山の中腹辺りで現れた、って言ってたけど・・・・・・」 先頭を歩くダークの後ろでナギサが呟く。 でこぼこと、起伏にとんだ獣道しかない山だったが、ナギサは疲れたなどという言葉は一度も吐かなかった。 足元もしっかりとしたブーツに履き替えており、いつでも剣が抜けるように柄に手をかけている。 前を歩くダークは少しでも歩きやすいようにとナイフで小枝を切り落としながら進んでいた。
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