いち

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「なあー、波崎。聞いてるのか?」 ――――ホームルーム終了後。 空いていた窓際の席に座った俺に、妙に整った顔をした茶髪の生徒がしつこく話し掛けて来た。 連「・・・近寄らないでいただきたいと言った筈です。 話を聞かないのはどちらですか?」 俺は関わり合いを避ける為に使っている敬語で、冷たく言い放つ。 「あー・・・そうだっけ? ・・・悪い、オレ人の話しとかあんま聞いてなくって・・・・・・・・・・・・・」 そう言って、下を向いてしまう。 叱責されても軽く流してしまいそうな相手だと思ったのだが、どうやら違ったようだ。 うつむいた顔が捨てられた小動物に見えて、小さく笑ってしまった。 ・・・・・・・・・なんか、院で飼ってた柴犬に似てるなぁ・・・。 「クッ・・・」 そう思うと余計に笑いがこみ上げてきてつい、声をあげてしまう。
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