いち

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「!!」 俺の笑い声が耳に入ったのか、目の前にいた奴が弾かれた様に顔を上げる。 連「フッ・・・はは!あんた面白いなぁー・・・ えっと・・・・・・・・」 そう言えば、まだ名前を聞いていない。 カ「カケル・・・オレ、上総 カケル(カズサ カケル)! よろしくな!」 嬉しそうに右手を差し出した。 ・・・しかし、直ぐにその表情は悲しそうに歪み、差し出した手を僅かに引いた。 連「?」 どうしたのかと不思議に思い、様子を伺う。 カ「・・・。ごめんな? なんか勝手に ・・・近寄らない様にするから困った事あったら言えよ?」 無理して笑ったカケルを見てやっと、そんな反応をした理由が解った。 ・・・コイツ、案外細かいとこまで気ぃ使ってんだな・・・。 連「・・・悪い、ちょっと誤解してた。 俺、孤児院にいたからこう言う金持ちばっかのとこにいる奴って絶対、性格悪いよなとか勝手に思ってて・・・ 声掛けてくれて、ありがと。よろしくな、カケル!」 途中から敬語も忘れてて・・・多分、それくらい話しやすい奴だったんだなと改めて思う。 俺が、少し下がってしまった右手を握ると、 孤児院と言う言葉に顔をしかめていたカケルが、俺の顔をガン見してきた。 連「・・・?」 ・・・・・・・・・何か、顔に付いているのだろうか? 連「・・・カケル?」 自分より背の高いカケルの顔を覗きこむと、ハッとしたように手を握り返した。 カ「・・・ッ!。はざ・・・―――――」 『~♪』 ――――カケルが何か言おうとする前に、授業開始のチャイムが鳴った。
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