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「結社はもう実質存在しないと考えた方がいいだろうね」
開口一番に乙無絢斗はそう言った。
「岸本春菜、瀬上真希両名に対し結社の監視がいないことが何よりの証拠
十二神も今では七人
聖剣も奪われ、トップ二名が反旗を翻したとなれば不思議ではないがね……」
「そんな分かりきったことを報せるために、私たちを呼んだのですか?」
この場で唯一の大学生の神山紗南が苛立った口調で絢斗を睨む。
「私たちは貴方の指示通り今まで情報収集してきた。
結果、むざむざ高橋を見殺しにした」
紗南のその言葉で場の空気が一気に重くなる。
「……おい」
その隣に座っていたツナギ姿の林道泰が紗南を睨んだ。
同時に紗南はハッとなって周りを見た。
特に高橋由奈の姿を見て自身の失言に気づく。
「……すまない」
彼女はそう言って頭を下げたが、言を取り消そうとはしなかった。
少なくとも、紗南にとって隆志の存在はもう死んだものとされているのだ。
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