序章

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「......で?何かしら。お父さん。」 『ははは。娘に普通に電話してはだめなのかな?』 「毎日電話するのが〝普通〟なんですか。」 電話相手は彼女の父親らしい。 イライラする娘とは裏腹に、彼女の父親はのらりくらりと話し続ける。 「大学教授も暇なのね。」 『おや。時間を見つけて電話をしているのだよ?それに可愛い娘が一人遠く離れているんだ。心配にもなるだろう?』 「さようでございますか。」 娘の嫌味な言葉に父親は楽しそうに笑う。 どうやらこういった会話はいつも通りのことらしく、慣れっこの様だ。 そして父親は素っ気ない娘が大層可愛いらしい。 .
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