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『しばらく会議で外国に行くんだよ。だから電話できなくなるからね。それを伝えておこうかと思って。』
「……そう。まあ気をつけてね。」
『ああ。そっちの生活もなれたか?月姫。』
「まあね。もうすぐ夏休みだから色々散策するつもり。ただやっぱり京都は暑い。」
月姫(かぐや)、と呼ばれた娘は着ているブラウスの胸部分を引っ張ってぱたぱたさせる。
相手には見えないと分かりながらも。
『それはそうだろう。体調にはしっかり注意するんだよ?帰ったら連絡するから。じゃあね。』
「了解。......じゃ。」
二度もかけてきた電話の割には呆気なく切れる電話。
これがこの親子の関係らしい。
「ふー。」
電話を終えた娘は手すりにもたれて息をつく。
もう暗くなってきた空のせいで、その瞳が何を思っているのかは伺えない。
「……帰ろうかね。」
そう独りごちて彼女は舞台から離れた。
そして闇に消えていった。
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