「甘味屋、には後で行きますよ。とりあえず、やり残したことをしに、ね。」
にっこり笑って答えたのに、土方は眉間にしわを寄せる。
「まだ傷が癒えてないだろう。その……やり残したことは今じゃなきゃダメなのか。」
「あはは。今、でないと自分の首を絞めることになりますよ。」
「………お前……。」
今度はちょっと真剣な目でそう言えば、土方は何かを察したようだ。
その証拠に眉間のしわが更に深くなった。
やっぱり頭が良いんだなこの人は、などと実感していた。
「それではもう良いですか?なるべく早く終わらせてきますから。」
「……一人で行くのか。」
「ええ。一人で、行かせてください。」
「………必ず帰って来い。」
「ふふ。はい。」
鬼なのに、やっぱり優しいんだな。
……と思ったのに。
次の瞬間妖しい笑みを浮かべる土方。
嫌な予感がする。
「帰ったら約束を果たしてやるからよ。」
「………結構です。行って参ります。」
「ははっ。気をつけて来い。」
嫌な顔をして背を向けると、土方のからかうような笑い声が追ってきた。
帰ってきたら私のことを〟抱く〝という約束。
本当に彼がそんなことするはずないのに、そうやっていつも私を元気づけようとする。
土方との(そう言えばの)約束を思い出した私は、
これからやることなど忘れて一瞬気が緩みそうになったがなんとかこらえた。
そして優しい鬼から離れて、私は再び修羅の道を歩み出した。
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