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「やめろって言っただろ。樹に悪いし、それに……なんか、悔しい」
「……う、ごめんね」
見てられない。
「じゃ、俺行くわ」
ヘルメットを被る。
二人を視界からシャットダウンする必要があった。
「あ、行ってらっしゃい!」
「ごめんな、詩絵が迷惑かけて」
やめろ。
お前の所有物のように、言うな。
「いいよ、幼なじみだし。またな」
俺は返答も聞かないまま、力任せに右手を捻った。
エンジン音が空気を揺らす。俺は自分の大学へとスピードをあげた。もう声は聞こえなかった。
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