002 やるせない思い

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「……っああ、クソ」 駐輪場の壁を何度も拳で叩く。 畜生。畜生畜生畜生! どうして俺じゃないんだ。 アイツなんだ。 幼なじみなんかじゃダメだ。 ただの幼なじみじゃ、詩絵に何も出来ない。何も。 こんなに胸が疼くのに、俺には見ているだけしかできない。 詩絵を奪いたい。 抱き締めたい。 アイツより先に詩絵を知ってるのに、先に隣にいたのは俺なのに。 今も隣にいるのが、俺だったらどんなに良かったか。 悔しい。悔しい……! ひたすら壁を叩いていたら、灰色のはずの壁がうっすら赤くなった。 驚いて拳を見る。 ずっと壁を殴っていた右手がぱっくりと割れ、そこから血が出ていた。
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