002 やるせない思い

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「うわ……馬鹿みてえ……なにしてんだ俺……」 落ち着け。 落ち着くんだ。 この大学には詩絵の他に、女なんてたくさんいる。 俺に釣り合う美人も腐るほどいる。 何も、詩絵じゃなくてもいいんだ。 俺に少しでも安息を与えてくれれば良い。 もしかしたら、詩絵を忘れさせてくれるかもしれないのだ。 「……詩絵じゃなくても」 小さく声に出してみる。 「詩絵じゃなくていい」 俺も人間だ。 詩絵しか愛せない訳はない。 そんなはずないんだ。 スクーターに鍵をかけて、駐輪場を出る。 俺の血が滲んだ灰色の壁が、ちらりと目の端に入る。 ああ、もうこの場所にスクーターは停めないようにしよう。 俺はキャンパスへと向かうためのドアを開けた。
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