002 やるせない思い

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大学のキャンパスは、朝の光を受けて所々キラキラと光っていた。 しかし、広い。 果たして都心にこんな土地と森があっていいものなのか。 緑に溢れたキャンパスは「自然と学ぶ」と掲げられた爽やかなキャッチコピーとは裏腹に、一歩間違うと樹海のように出られなくなるという恐ろしさを孕んでいるように思う。 何故なら俺が、方向音痴だからだ。 だから俺は大学の中央をバシッと通っている大きな道くらいしか歩かないことにしている。 大学の森で迷って授業に出られなかったら、元も子もあったもんじゃないし。 でも今日はそんな見慣れた道でさえ、暗く見えてしまう。 俺は右拳を見下ろした。 そんな大した傷でもないらしく、幸い血は止まったようだ。 風に吹かれて赤い血は不気味に黒さを増し、傷口にこびりつき始めていた。 ……あー、何だコレ。 地味に痛いぞ。 と、顔をひきつらせていると。
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