其ノ異血

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そう、出掛けたところまではよかった まだあの時はこんな事態に なっているだなんて 夢にも思わなかったのだから 『本日、休業日。』 …泣きそうになった それと同時にこの世には 神様なんていない、 あるのは人の都合を まったく考えない洋菓子店と 意地の悪い 上司だけだということを 改めて思い知った 「ただいま、戻りました」 やっとのことで事務所に戻り 一息つこうと思った矢先、 真っ先に目に飛び込んできたのは 机に足を乗せた状態で ふんぞり返っている 巫女服姿の少女だった …いや、まぁ、それが ボクの上司なんだが 「やぁ、思ったよりも 随分と遅いご帰還だねぇ。 何かあったのかい?」 めんどくせぇ… 「あの、机から 足を下ろしていただけませんか? 行儀が悪いですよ。 黒鴉(くろあ)さん」 もう少し世間体を考えろ、 お客が来たらどうするんだ、 心の中で呟きながら 台所に向かいコーヒーを煎れる 「それに見たところ、 手ぶらで帰ってきたようだねぇ。 君はお使いもまともに 出来ないのかい?神前くん?」 人の注意を華麗にスルーし 勝手に人を無能扱いする黒鴉
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