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「他人を無能扱いするのは
勝手ですが、黒鴉さん。
その無能を雇ったのは
あなた自身ですよ?」
黒鴉は何も答えない
「それに、ですよ。
もともと、貴女の下調べが
甘いせいでしょうに」
まぁもっとも、
こいつの
嫌がらせじゃなければ、の話だが
「…何を言っているんだい?
神前君。馬鹿は
休み休み言いたまえよ?
ボクがなんだって?」
「まだ、
しらばっくれるんですか!
貴女が指定したあの店、
本日休業日だったんですよ!」
思わず声に怒気が混ざる
しかし黒鴉は
気にした素振りを見せずに、
それどころか
まるで嘲笑うかのように、
まぁ、実際に
嘲笑っているんだろうが
飄々とした口調でこう言った
「…何を言っているんだい?
開店した次の日、しかも
日曜日に休む店が
一体、何処にあるんだい?」
…駅前だよ!
思わず出かかった言葉を
慌てて飲み込む
ダメだ、こいつの前で
冷静さを失ってはいけない
そのことは
この僕が一番よく知っている
「それなら、なぜあの店は
休業日なんて看板を
掲げていたんでしょうか?」
暫しの沈黙の後、
ゆっくりと黒鴉は口を開いた
「ねぇ、神前君。
つかぬことを聞くけど
君は地図を読むことは
出来るかい?」
何を藪から棒に、そんなの当然…
「………読めませんが、何か?」
正直、北と南の区別がつかない
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