ノアの祭火

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月明かりで三人のいる場所は照らされていた。 「アレン……奴がアリスと接触すれば問題だった。それが起こってしまったと……」 「あぁ、あんたらが見た例の強い光…あれはアレンと契約した“エリス”の力ってわけさ」 「アレンさんがウルに何か仕掛けた、その結果戦いになった……」 「そういう事だ」 次の間から、この場が静まり返った。 ロビンは近くの橋にあった人形の事を思い出していた。 あれは不気味だった。 顔がただれて、服はボロボロに焼け焦げ、見ただけで吐き気がしそうなものだった。 今ロビンのいる位置からその人形が見えるはずだが、それは姿を消していた。 ――ノアの能力なのか? 「頼む」 アルノアが言葉に出す。 彼の目は緋色になっていた。 「俺は…お前の力を借りたいんだ…どうしても……」 アルノアはロビンに向かって何かを念じたようだ。 (まだ無理だ、お前らだけじゃ……) アルノアの目は橙に近い黄色に戻った。 「今の奴は半端じゃねえ」 アルノアの隣に、真紅の髪で緋色の目の男性が現れた。 正確には聖霊だが。 「この俺が来た理由も含めて、あっちで諸々説明してやる」 彼は、手を空に向けた。 彼らの足元に魔法陣が現れ、そこから炎があがり彼らを飲み込んだ。 キャンプファイヤーの炎よりかなり大きく舞い上がったそれが消えた。 その場にいたロビン、ローズ、アルノアと真紅の髪の聖霊もどこかへと消えてしまった。 それを遠くの建物で見ていた青紫の髪の少年は、建物の影に溶けるように消えていった。 あの炎こそ、戦いの始まりの合図となったのであった。
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