ノアの祭火

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恒暦108年 聖霊の目撃情報が多いバビロニータウンと呼ばれる町。 ここは今、祭りの真っ只中である。 街は賑やかなのに、暗い顔の男がひとり。 彼はこの祭りの本当の意味を知らない。 他にもこの祭りの意味を知らない観光客は多いだろう。 だが彼は気付きはじめていた。 この町に人間しかいない事に。 鳥や犬、今までの観光地にいたはずの生き物たちの姿が見られないのだ。 暗い顔の彼はある建物にいき、そしてこう推測した。 “ノア”の力だと。 ノアと呼ばれる聖霊がいる。 彼は、この町にその聖霊がいることに気付いたのだ。 「アルノア、シェイド、やつらもここにいる」 (あの人が…モンスタースリット能力を使うなんて……) 少年の近くにいる少女の声。 「さっさと片付けるか、早く宴を始める為に」 少年は窓から飛び降り、イレギュラーコント確保に動き出した。 祭りの中に解答があると信じて。 アリスは、窓から飛び降りた黒いコートの黒髪の少年と、その胸にある大きなバラ型のペンダントを、間近で目撃していた。 そして、こう呟いた。 「……ソーンズ…契約…完了」 アリスは少年が走って行った方向に歩き始めていた。
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