ノアの祭火

4/14
前へ
/25ページ
次へ
綺麗な夕焼けを映す川の岸に寝ている、少し癖の付いた銀髪の少年が一人。 「アル!!」 そう言われて、飛び起きた。 「ロビンが気付いたようだぞ」 金髪で黒いゴスロリ風の服を着た女性“シェイド”に言われると、アルと呼ばれた少年は、すぐに支度を始めた。 「ノアのことは、あくまで仮契約だという事を忘れるなよ」 「わかったー」 アルはふと言う。 「エリスは?」 シェイドは答えなかった。 「まいいわ。ちゃんとシゴトはやるさ」 アルがそう言うと、シェイドの顔からは後悔の念が読み取れた。 (……ウルの意思は…わかってるはずだろ?) シェイドの頭に声が響く。 (……ウルの意思は……僕達でも叶えられる……だから…そんな顔しないで……) 「聞いたか?オレが“ヘマ”しなけりゃ何とかなるってこと」 「その“ヘマ”が一番怖いように感じたが?」 「ははは……」 アルは苦笑していた。 だが、シェイドは少し和やかに微笑んで考えた。 ――あくまでアルには、気をつけなければ 青紫の髪をした少年が、近くの橋から見ている事を、 アルとシェイドは、知っているのか、いないのか…………。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加