ノアの祭火

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栗色の髪で翠目の少年“ロビン”は町の中を探検していた。 一番星が見える時間帯になり、町の中心部でキャンプファイヤーのようなものが開催されている。 「楽しそうだなぁ…俺も入りてぇ」 (ダメですよ) 彼の頭に、少女の声が響く。 「堅いなぁ」 少年は苦笑しながらつぶやく。 「よぉ!ロビン!」 無駄にデカい声が聞こえた。 ロビンが後ろを振り返ると、濃い水色と桃のオッドアイの男性がロビン達を見ていた。 ロビンは驚いた後、 「凛英篤[リンエイトク]か、分が悪い時に会ったな」 それまで表情豊かだった顔は、一気に冷めた表情に変わる。 「そうでもないぞ?情報屋をなめてもらっちゃこまる」 自称情報屋の英篤はロビンに紙片を数枚渡す。 「<真実と現実、虚実を見分けろ>だって、なにしろノアだからなぁ……」 そう言って英篤は火に向かって歩き出した。 それに付いていったロビンは疑問を感じた。 確かに、この男は聖霊を感じ取れる。 だが“ウル”もこの町にいる以上、彼には探知出来ないのでは?と。 「ウルとは縁を切った事にしてある、そう不思議なことじゃない」 それならばと思ったロビンは歩みを止め、 「英篤さん、俺は……」二人の間に僅かな沈黙。 「……………あぁ」 英篤は何かを感じ取ったのか、頷いた後、再び火に向かって歩きだした。 英篤は肩まである焦げ茶の髪を後ろでまとめていた。 それを見送った後、持っていた紙に目を移す。 ロビンは“姫神アリス”と書かれた手紙を破り捨てると、東の川に向かって歩き出した。 今夜はフクロウの鳴き声が聞こえてくる。 そして、夜も更けた頃に、 川岸で強い光を伴った爆発が起きた。 それに気付いたロビンは驚きの表情の後、すぐに川岸に向かって走り出した。 ――派手にやったな…お前の…そんなとこは変わってないんだな…… そう思ったロビンの顔は、うっすらと笑っているように見えた。
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