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ロビンが川岸に着いた時には、一人しかいなかった。
「アルノアか、今回は“ヘマ”をやったのか?」
暗雲の立ち込める暗い夜に、月光に相当するあの強い光が発せられるのは、
聖霊の力が暴走した時か、もう一つしかない。
ロビンは前者と考えて話し始めた。
アルノアは寝ていたようだった。
「ようロビン、よく俺だとわかったな」
アルノアが立ち上がり、緩く結んでいる長い髪がボサボサになった。
「こんな真っ暗闇の中で」
「……………」
「解答のわかってる質問はするな、ってか?」
「………まあな」
「ローズか、奴は特別だしな」
ちなみに“ローズ”と呼ばれる聖霊の力を使うと、闇の中が見えやすくなる。
それを利用したので、彼の正体にも気付けたのである。
「お前も相変わらずみたいだな」
今のロビンの表情は、和やかに見えた。
「あんたは?オレの記憶とはなんか違う気が
「気のせいじゃないか?」
早すぎる返答にアルノアは困惑した。
「早すぎ……まぁ、この話は置いとくとして……」
真剣な空気が流れる。
「ウルとアレンが、さっきここで戦った、それであんたら伝えたい事がある」
雲間から月が見え隠れする。
「その事は感づいていました……すみません、続きをお願いします」
ロビンのペンダントは消え、近くに腰まで伸びる髪の少女が現れる。
またもや途中で話を切られたアルノア。
しかし、気にした様子を見せずに話を続ける。
「ロビン、ローズ…あんたらエリスって知ってっか?」
ロビンたちは首を縦に振る。
「実は、今回のオレ達の討伐対象がそいつなんだ」
ローズの栗色の髪が揺れる。
ローズの表情が曇る。
風が吹いてきた。
いつの間にか鳥達の声が聞こえ、騒がしくなっているのを思い出す。
「姫神[ヒメガミ]アリス、それが“エリス”の人間時の呼び名らしいですね」
次は、ロビンの顔が曇る。
その名は、彼の最初に友情を教えてくれた人と同一の名だったから。
「お前らが、エリスを狙う理由は?」
「それは………」
アルノアは、しばし黙り込む。
「“アレン”と接触したからだ」
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