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青を基調としたベッドの上を転がり、携帯電話を上に掲げる。
部屋の灯りを鈍く反射し、深く輝くインディゴ。
指紋の一つもない、吸い込まれそうな黒い画面。
つい、笑みがこぼれてしまう。
そのまま暫くの間、にやにやしながら、ヤシロは新品の携帯電話に見とれていた。
鑑賞も程々にして、PWRという文字のある場所を、親指で押す。
携帯会社の名前だろうか。大きな文字がいきなり画面上に現れ、二、三秒して消えた。その後、よく解らない英数字の羅列が、次々と、スッと現れては消えていく。
十秒程それが続いた後、やっと、デフォルトの待受画面らしいものが出てきた。
神秘的な青い光が広がり、弾け、様々な方向へ光の線が飛んで。花を象ったような形になっていて、それが黒い背景の真ん中にある。シンプルでもどこかお洒落で、実用的な雰囲気を醸し出している。
あまりにもダサイものだったら直ぐに変えようと思っていたが、暫くは…いや、ずっとこの画像のままでも良いだろう。
ヤシロはそう思った。
「…えー、と。」
アプリをダウンロードするのは何処だったか。
色々と触ってみるが、中々見つからない。
"習うより慣れろだ"と説明書を捨ててしまったのは、間違いだった。ヤシロは部屋のゴミ箱を漁り、肝心の説明書を探す。
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