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第110話
凛
「だよな、あいつらがいるもんな」
俺
「それは関係ないだろうに」
凛
「そうか、俺に彼女が出来る訳なかったか」
俺
「泣いた」
夕紀
「あのー……?」
凛
「悪い悪い、えっと」
夕紀
「夕紀と言います」
俺
「会って早々精神抉られるとは思わなかったわ」
凛
「夕紀ちゃんね、とりあえず俺は黙っとれ」
俺
「もっと泣きたい」
夕紀
「色々聞きたい事はありますが、今どこから来たんですか?」
凛
「どこからって、バスから?」
夕紀
「それは分かりますけども」
凛
「俺に言われたんで、渋々で降りたんだ」
夕紀
「渋々ですか」
凛
「降りなきゃもっと早く着いたんだが」
夕紀
「そんな事はありませんから安心してください」
俺
「どうせバスを追いかけようとしたんじゃないか?」
凛
「失敬な、同じ轍は踏まんさ」
夕紀
「一回踏んだ時点で気付きましょうよ」
凛
「追いかけたのが悪いんだろう?」
俺
「まぁそういう事だな」
夕紀
「とにかく、無事に着けて良かったですね」
凛
「だから先回りするように歩いたんだ」
夕紀
「論点はそこじゃありませんよ!?」
俺
「姉ちゃんがよく分かっただろ?」
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