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僕はその女の子にばれないように角からそっと顔をのぞかせる。
女の子との距離は目測だがもう10mもない。
ーー今だ!!
僕はボルトも驚きのスタートを決めて、あたかも『僕も遅刻で急いでいた』かのように角を抜けた。
次の瞬間、僕の存在を視界に捉えた女の子が、驚きの表情で僕を見る。あ、女の子と目が合った。ひゃっほぉう!!
おっと、浮かれている場合じゃない、ポーカーフェイス……は不自然だから驚いた顔をしておこう。
これで完璧。ついに、ついに僕はラブコメ主人公の仲間入りだ。
だが彼女が不思議な言葉を口にしたあと、僕は衝撃の出来事にあう。
「実体」
彼女はそうつぶやいた、そして、僕は完璧に衝突は避けられないと思っていた彼女の体を“すり抜けた”のだ。
ーーえ?なんぞこれ?
僕はそのまま豪快にぶっ倒れると、彼女から言葉を投げかけられた。
「残像だ」
なん……だと……。
あまりの出来事に、僕は目を見開いたまま彼女を見る。
しかし、彼女の方も驚いていたらしく、見開かれた碧眼は僕を見つめて、その見開かれた瞳には驚いた表情の僕がいた。
その凛々しい目に見つめられ、少なからず僕の心拍数は上がっている。透き通るような肌をした華奢な体がふつくしい。
というか何この子?さっきの出来事といい、この反則的な可愛さ、いやカッコ可愛さ?
彼女は尻餅をついた体制の僕と目を合わせるようにしゃがみ込む。これはパンツが!?と思ったのだが、残念ながら拝むにはいたらなかった。
「なぁ、お前……ッ!」
彼女が何かを口にする、しかし、彼女は何かを思い出したかのように、学校に向けて走り出した。
あれで顔が赤くなっていたらフラグだったんだがな……。
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